魚にいる寄生虫
魚に寄生する代表的な寄生虫には、以下のようなものがあります。
- アニサキス:消化管に寄生し、人間が食べると胃腸障害を引き起こす。
- リリアトレマ:主に白身魚に寄生する。
- テンタクラリア:魚の筋肉内に潜むことが多い。
- ニベリニア:スケソウダラなどに寄生し、腸内に影響を与えることがある。
ソイに寄生する黒いゴマの正体とは?
ソイを捌いた時に身の中に黒い点を見たことはありませんか?ゴマに似ている物が身に入っていることありますよね?
これは別に身が痛んでいるわけではなく、寄生虫「リリアトレマ・スクリジャビニ(Liliatrema skrjabini)」の影響によるものです。特にクロソイに多く見られ、釣り人なら一度は目にしたことがあるかもしれません。
リリアトレマ・スクリジャビニとは?
この寄生虫は、吸虫の一種で、メタセルカリアと呼ばれる幼生の状態でクロソイの身に寄生します。
黒い点・ゴマの正体は、リリアトレマが魚の筋肉内に入り込んだものです。
黒く見える物はリリアトレマに沈着したメラニン色素になります。
クロソイに寄生するリリアトレマ・スクリジャビニの特徴
では、リリアトレマ・スクリジャビニはソイのどの辺に寄生するんでしょうね?ってことなんですが、富山県水産試験場研究報告 「吸虫類 Liliatrema skrjabiniのメタセルカリアが多数寄生したクロソイの一例(短報) 著者:若林信一(1997年 3月25日受理)」から引用させていただくと
メタセルカリアは頭部から尾柄部まで体全体にわたり寄生しており,その大部分は体側筋と頭部の筋肉に認められたが,眼球後方の皮下,下顎と鰓蓋の皮下,脳と臭覚器官の連絡部付近(両眼球間の軟組織部)にも認められた・眼球内部,脳及び各鰭にはみられなかった。鰓と内臓は除去されていたのでメタセルカリアの存在は不明であった。供試魚の右体側部の横断面におけるメタセルカリアの寄生位置をFig.2に示した。体表面に近い位置に比較的多くみられ,体中心部では少なかった。
引用:富山県水産試験場研究報告 吸虫類 Liliatrema skrjabiniのメタセルカリアが多数寄生したクロソイの一例(短報) 著者:若林信一(1997年 3月25日受理)
とのことです。
これを読んで私なりに解釈し要約したところ
- 要約
- 体側筋や頭部の筋肉に多く見られる
- 眼球、脳、ヒレにはみられない
- 体の表面に近い部分に多い
という事になりそうです。
日本海側に多い?クロソイの生息環境と寄生虫の関係
個人的な感覚の話ですが、このリリアトレマは、北海道沿岸では日本海側のソイに多いような気がします。
日本海側は暖流が入り込みやすく、水温が高いためかもしれません。
クロソイは低温に強い魚ですが、一般的に日本海側のクロソイのほうが太平洋側より海水温が高く、成長が早いとされています。
そう考えると、成長が早い日本海側のほうが寄生虫が少ないような気もしますが、その真相は私には不明です。
刺身に入っていた!人への影響は?食べても大丈夫?
私は元調理師なのですが、捌くと意外と寄生しているのが分かるんですよね。
刺身にすると黒い点が目立つので心配になると思います。
ただ、リリアトレマ・スクリジャビニは人には寄生しません。そのため、寄生しているソイを食べても健康被害はありません。ただし、生食は極力避けた方が良いですし、見た目が気になる場合は、取り除いて適切に加熱調理をすることで食べることができますが、あまり気分の良い物ではありませんね(笑)
釣り人が知っておくべきこと
せっかく釣り上げていただいた命なので、捨てることなく食べてあげたいところです。
ソイの黒い点は気にならない方もいると思うんですけど、目立つんですよ(笑)
なので、取り除きやすいと言えばそうなんですが、数が多いことも多々あるので、包丁やピンセットで取り除いて煮つけにして食べたりするのが良いです。
- クロソイの黒い点は寄生虫によるものであり、鮮度が悪いわけではない
- 人に害はないが、気になる場合は加熱調理が有効
- 煮つけなどの料理が食べやすい
他の魚にもいるの?
リリアトレマ属は他の魚にも寄生しているのか?と言うとしています!
北海道ならシマソイ、アブラコ、メバル。このへんの魚も要注意です。
クロソイが生息してる場所と被る生息域に住んでいるロックフィッシュは寄生していてもおかしくはないですね。
まとめ
クロソイの黒い点は、リリアトレマ・スクリジャビニという寄生虫によるものですが、食べても人には害はありません。釣りを楽しみながら魚の生態や安全性についての知識を深め、安心して食事を楽しみましょう!