釣りやレジャーで大人気の「ミニボート」。これからどんどん沖に出るアングラーも増えると思います。
ですが、実は海難事故が多く報告されていることをご存知ですか?
特にボートでの行方不明は本人も残された家族も悲惨な結末が待っています。
この記事では、海上保安庁の海の安全情報の実際の事故データをもとに、ミニボートにどんなリスクがあるのかを私なりに分析し、安全に楽しむための対策もご紹介します!
ミニボートの海難事故データを分析!
まず、私が今回参考にしたデータは以下のホームページにあります。
その中の船舶事故データをもとに、平成27年から令和6年までのゴムボートのデータを分析してみました。
海難事故の種類は?
ミニボートで多い海難事故の種類は以下のとおりです。
海難種類 | 件数 |
---|---|
運航不能 | 224 |
転覆 | 43 |
その他 | 23 |
衝突 | 22 |
浸水 | 10 |
乗揚 | 8 |
単独衝突 | 2 |
もっとも多いのは「運航不能」で、次いで「転覆」や「衝突」が続きます。特にゴムボートはエンジントラブルや推進器の故障で立ち往生するケースが目立ちました。
実際にゴムボートを乗る私ですが、こんなトラブルがありました。
・沖に出ようとしたら、船外機の検水口から水が出ない→インペラが劣化破損・変形
・沖で船外機の回転数が上がらない→キャブレーターの詰まり
・走行中に沈み根に船外機が衝突→海図確認不足・航行不能
・突然の突風→ギリギリ帰港
・スパークプラグのかぶり→プラグ交換で対応 特に2ストは注意! etc

正直、沖でのエンジントラブルは生きた心地がしませんでした…。
事故の原因は何?
⬇「事故の原因別」表をご確認ください
原因 | 件数 |
---|---|
機関取扱不良 | 89 |
気象海象不注意 | 67 |
船体機器整備不良 | 46 |
その他の運航の過誤 | 27 |
不可抗力 | 23 |
操船不適切 | 20 |
材質構造不良 | 19 |
最多原因はなんと「機関取扱不良」!
つまりエンジンや推進装置の操作ミスや整備不良です。また、「気象海象不注意」も多く、風や波を甘く見て出航することが大きなリスクとなっています。
実際、私も岸に近いから大丈夫だと思っていましたが、突然の突風で帰れなくなりそうなこともありました。
2馬力ボートであればなおさらです。
特に低馬力のボートは沖に出るようなことは控えましょう!



高出力のエンジンだからって帰れるとは限らないよ!
ゴムボートは浮力はあるけど波・風には弱いんです!
操船者の年齢層は?
⬇「操船者の年齢層別」表をご確認ください
年齢層 | 件数 |
---|---|
40歳代 | 72 |
50歳代 | 65 |
30歳代 | 62 |
60歳代 | 44 |
20歳代 | 40 |
70歳代 | 37 |
不明 | 9 |
意外にも事故が多いのは40〜60代の中高年層。経験豊富な世代にも関わらず、油断や過信が事故につながっている可能性があります。高齢層にとっては体力の衰えも見逃せません。
ただ、20歳代、70歳代が少ないか?と言われるとそうでもありません。
年齢関係なく事故は起こります。



年齢は特に関係ないかな~。
死者・行方不明者の割合は?
⬇「死者・行方不明者の有無」表をご確認ください
死者・行方不明者あり | 件数 |
---|---|
No | 328 |
Yes | 4 |
全体のうち「Yes(=死者・行方不明者あり)」は少数(1%程度)ですが、命にかかわる事故も現実に起きていることがわかります。



意外と少数と思えるけど、一度たりとも人生であってはダメです!
プレジャーボートで行方不明になった場合の一般的な流れ
捜索の開始
- 通報:家族や関係者が海上保安庁や警察に「行方不明」または「遭難」の通報を行います。
- 捜索活動:海上保安庁が出動し、海域の捜索が行われます(ヘリや巡視船による捜索も)。
行方不明者としての扱い
- 短期間では「死亡」とはみなされない:行方不明の状態では、法的にすぐに「死亡」とは認定されません。
- 特別失踪と普通失踪の違い
- 特別失踪:災害・事故などの危険が差し迫った状況で行方不明になった場合、1年で死亡認定が可能。
- 普通失踪:通常の失踪は7年経過後に家庭裁判所の判断で死亡とみなされます。



失踪になったら残された家族は金銭的にも悲惨な運命が待っている可能性があります!
それを説明します!
保険はすぐに下りるの?
生命保険
- 原則として死亡認定が必要:保険金を受け取るには死亡が確定している必要があります。
- 特別失踪による死亡認定後:裁判所で死亡宣告が出れば、保険会社に請求が可能です。
- 事故保険や海難保険に加入している場合:内容によっては、一定の証拠があれば早期に支払われることもあります。



死亡の認定がないと保険も出ない可能性があります。
船舶保険(任意)
- 船の損害に対しての補償:沈没などで船が損傷した場合に保険が下りる可能性も。
- ただし、搭乗者の死亡補償が含まれているかは保険内容によるので要確認。
残された家族の生活・住宅ローンなどはどうなるの?
住宅ローンの団体信用生命保険
- 住宅ローンを組む際、多くの方が加入しています。
- しかし、基本的に団信も死亡が確定していなければ保険は下りません。
- よって、死亡宣告が出るまではローン返済が続くことになります。
生活費や支援
- 公的支援制度は死亡認定後に受けられる場合があります(遺族年金など)。
- それまでは、生活資金の確保が家族にとって大きな課題です。



住宅ローンだけでなく、カーローンなどもあれば、残された家族は払い続ける運命に…。
つらいよぉ…。
家族がすべき対応と準備
すぐに行うべきこと
- 海上保安庁や警察への通報
- 保険会社への連絡・事故報告
- 弁護士や司法書士への相談(死亡宣告や相続に関わるため)
中長期的な対策
- 早期の死亡宣告申立て(特別失踪):家庭裁判所に申し立てを行い、1年後に認定されれば各種手続きが可能に。
- 保険の見直し:万が一に備えて、特約や搭乗者補償の確認・加入を。



特別失踪の手続きも遺族にとっては悲し過ぎる…
万が一に備えて知っておくべきポイント
項目 | 内容 |
---|---|
捜索開始 | 海保が対応、ただし即時の死亡認定はされない |
死亡認定までの期間 | 特別失踪で1年、普通失踪で7年 |
生命保険の受け取り | 死亡宣告後に可能 |
住宅ローン(団信)の扱い | 死亡認定が出るまで返済義務あり |
家族の対応 | 弁護士相談、裁判所申立て、保険会社・金融機関への報告 |
予防策・準備 | 保険の見直し、航行計画の共有、万が一の対応マニュアル整備 |
ミニボート事故を防ぐ!5つの安全対策



悲しい事故を防ぐために最低限安全対策はしよう!
1. 出航前は必ず天候チェック
- 「海しる」や気象庁の天気図を確認し、風速5m以上なら出航中止が無難!
- 波高が0.5mを超える場合は小型ボートは特に危険です。


2. エンジンと推進器は念入りに整備
- 燃料、オイル、バッテリーの残量を確認
- プロペラやゴムボートの空気漏れもチェック
3. 救命胴衣(ライフジャケット)は必須!
- 常に着用を!
- 桜マーク付きの国認証製品を選びましょう。
4. 単独行動は避ける
- 出航の際は家族や仲間に行き先を伝える
- 可能であれば2人以上で出航する



2人以上で出航した場合、一人で海に落ちた場合、助けられる可能性があるよ!
5. 救難信号やスマホ防水ケースも準備
- ホイッスルや携帯電話は防水ケースに入れて常備
- 万が一の時に助けを呼ぶ手段を確保しておきましょう
まとめ:楽しいミニボート遊びには「備え」がカギ!
ミニボートは自由で楽しい反面、ちょっとした油断や整備不足が大事故につながります!
事故を「自分ごと」として受け止め、安全対策をしっかり講じたうえで、海のレジャーを楽しんでいきましょう!