ねえ、今年(令和7年)の後志のサクラマス船釣りって「実際どうだったの?」って、気になりますよね。
結論から言うと、船釣り(ライセンス制)は前年より“釣れた”年で、いっぽうで親魚捕獲・採卵は達成率ベースで見ると課題も残る──そんなバランスでした。
まず整理:後志のサクラマス船釣りは「ライセンス制」

後志管内のサクラマス船釣りは、資源保護と秩序ある漁場利用のために、ライセンス(承認)を取った船だけが一定条件で釣れる仕組みです。
いつ・どこで・何が制限される?
委員会指示の骨格はざっくりこうです。
- 期間:3月1日〜5月15日(この期間は原則として船釣りを禁止、そのうえでライセンスで運用)
- 場所:後志管内の指定の区域内
- 区分:遊漁専業、遊漁兼業、プレジャーボート、漁業者の4区分
- 現場のルール例:章旗(旗)の掲揚、釣獲時間、釣果報告の提出など
- 遊漁者側のルール例:ライセンス取得船に乗る、漁具漁法の制限、1人1日10尾以内 など
サクラここ、超大事ポイント!
「誰でも自由に沖へ出て釣る」のではなく、“ルールに乗って釣る”のが後志の船サクラ釣りです!


令和7年の結論:釣果も釣行者も「前年より増」
数字で見ると、令和7年はこんな感じでした。
※参考資料:第23期第5回石狩後志海区漁業調整委員会議事録
ライセンス承認数は279件(前年差+24)
- 承認数:279件
- 前年より24件増



「船が増えた=人が動いた」ので、海の状況が良いと一気に盛り上がりやすい年回りだった、とも読めます。
釣獲尾数は5,200尾(前年差+3,747)
| 海域 | 尾数 |
|---|---|
| 西積丹 | 2,712 |
| 東積丹 | 1,489 |
| 神恵内 | 909 |
| その他合計 | 90 |
| 合計 | 5,200 |
- 釣獲尾数:5,200尾
- 前年より3,747尾増 ●R7.11.28 第23期第5回石狩後志海区漁業調整委員会議…
前年比で見るとインパクト強め。



ただし「去年が厳しかった反動」か「今年が当たり年」かは、ここだけでは断定できません!
釣行者数は2,619人(前年差+217)
| 海域 | 人数 |
|---|---|
| 西積丹 | 1,311 |
| 東積丹 | 678 |
| 神恵内 | 367 |
| その他合計 | 263 |
| 合計 | 2,619 |
- 釣行者数:2,619人
- 前年より217人増



釣行者が増えて、釣果も増えている。
これは「行けば釣れる期待があった」年だった可能性が高いです。
ただ、ショアからの釣りはかなり厳しい年でもありました。
どこが強かった?西積丹・東積丹に集中
海域別の偏りがはっきり出ています。
釣獲の81%が西積丹・東積丹
- 西積丹+東積丹で 全体の81% と大半を占めている。
釣行者も76%が西積丹・東積丹
- 西積丹+東積丹で 全体の76% とこちらも大半を占めています。
つまり今年も、体感どおり「積丹が主戦場」。
裏返すと、人気エリアほど混みやすいので、ライセンス制で章旗や報告義務があるのは“安全運用のための現実的な仕組み”でもあります。



積丹強し!!
でも、船の数も考えると妥当かな…。
いつが良かった?「釣れたピーク」と「人のピーク」はズレる
これ、船サクラあるあるです。
釣獲尾数ピーク:3月中旬〜下旬
| 時期 | 尾数 |
|---|---|
| 3月中旬 | 1,479 |
| 3月下旬 | 2,428(ピーク) |
| 4月上旬 | 514 |
- 釣れた山は 3月中旬〜下旬
釣行者ピーク:4月上旬〜中旬
| 時期 | 人数 |
|---|---|
| 3月下旬 | 397 |
| 4月上旬 | 699(ピーク) |
| 4月中旬 | 558 |
- 人が一番動いたのは 4月上旬〜中旬



今年は3月下旬の年でしたね!
ライセンスの収支はどうなってるの?


令和7年度収支決算書を簡単解説|収入の部分
ちなみにですね、令和7年度の収支決算書が公開されています。
※令和7年度収支決算書
結論的には黒字でかなり健全な収支バランスかと思われます。
| 収入項目 | 決算額 | 何のお金? |
|---|---|---|
| 前年度からの繰越 | 約64万円 | 去年の残り |
| 協力金収入 | 約272万円 | 船釣りライセンス代 |
| 雑収入 | 約600円 | 銀行利息 |
| 合計 | 約336万円 | 今年使えるお金 |
もう少し詳しく見るとこんな感じになります。
| 区分 | 隻数 | 1隻あたり | 合計 |
|---|---|---|---|
| 遊漁船(専業・兼業) | 56隻 | 30,000円 | 約168万円 |
| 漁業専業者 | 37隻 | 3,000円 | 約11万円 |
| プレジャーボート | 186隻 | 5,000円 | 約93万円 |
| 合計 | 279隻 | 約272万円 |



つまり
「釣りをする人たちが出し合ったお金」で、この制度は動いている
ということです!
支出の部|そのお金は何に使われた?
大きく2つだけ考えればOK
- 運営に使うお金(事業費)
- 魚を増やすためのお金(増殖協力金)
事業費(運営費)って何?
| 内容 | 決算額 | 超簡単に言うと |
|---|---|---|
| 章旗作成費 | 約30万円 | 船につける旗 |
| 事務委託費 | 約77万円 | 事務作業の人件費 |
| 通信・消耗品など | 約16万円 | 切手・紙・電話 |
| 会議・旅費など | 約3万円 | 最低限の運営 |
| 事業費合計 | 約123万円 | 制度を回す費用 |



ムダ遣い感はなく、
かなり必要最低限かと思われます。
一番大事な支出|増殖協力金(ここ重要)
結論
ちゃんと魚のためにお金を使っている
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 増殖協力金 | 110万円 |
| 支払先 | 日本海さけ・ます増殖事業協会 |
もう一つの重要テーマ:親魚捕獲・採卵はどうだった?
船釣りが盛り上がっても、資源の根っこは「親魚がどれだけ確保できて、卵をどれだけ取れたか」です。
この議事録では、サクラマスの親魚捕獲・採卵状況が数字で出ています。
親魚捕獲数:2,572尾(達成率67%)
- 達成率:67%
- 親魚捕獲数:2,572尾
採卵数:2,701千粒(達成率57%)
- 採卵数:2,701千粒(= 270.1万粒 という意味合いの表記)
- 達成率:57%
「達成率」ってなに?
目標(計画)に対して、どれくらい達成できたかをパーセントで表したものです。
- 67%なら「目標の約3分の2」
- 57%なら「目標の半分ちょっと」
客観的に言うと、ここは“厳しめ”
船釣りの釣果が増えていても、採卵の達成率が57%というのは、資源の将来を考えると不安材料になりえます。
ただし、原因(海況・遡上タイミング・親魚の確保体制など)をこの議事録だけで断定はできませんので今後どうなるかは注視する必要があります!



真面目な話。数年前に資源確保を目的に河口規制が厳しくなりました。
しかし、この達成率。
個人的には、この数字、一釣り人としては、納得できないかな。
ただ、限られた予算の中で、関係者の苦労や努力に関してはリスペクトしています。
簡単にまとめ
- ライセンス承認数は279件で前年より増(前年差+24)。
- 釣獲尾数は5,200尾で前年より大きく増(前年差+3,747)。
- 主戦場は西積丹・東積丹(釣獲81%、釣行76%)。
- ピークは「釣れたのが3月中旬〜下旬」「人が多いのが4月上旬〜中旬」でズレる。
- 親魚捕獲2,572尾(達成率67%)、採卵2,701千粒(達成率57%)で資源面の課題も見える。

