サケはなぜ戻らない?回帰率低下の理由

サケが秋の北海道の河川遡上する画像

サケが激減した問題。

何度も私のブログで書くネタですが、今回はちょっぴりいつもと違うデータを使ってみたいと思います。

その原因は、
「獲りすぎたから」でも
「放流してないから」でもなさそうなんです。

今回ブログ書くにあたってのキーワードは以下3つ。

  • 回帰率(どれくらい戻ってくるか)
  • 水温帯(5〜13℃)(サケ稚魚が育ちやすい温度)
  • 潮流(親潮・対馬暖流)(海の流れ)

今日はこの3つを使って、わかりやすくサケ不漁のナゾを追求してみたいと思います。


目次
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今回結論:まずサケは「戻れなくなっている」

今回は水産庁が公表している令和3年開催の不漁問題に関する検討会の資料を参考にしたいと思います。
不漁問題に関する検討会とりまとめはこちら(PDF)

回帰率が過去最低レベル

日本のサケは、長年「ふ化放流(人工的に稚魚を育てて放す)」で資源を支えてきたのは、みなさんご存じですよね。
ところが近年、放流数はほぼ同じなのに、戻ってくる割合だけが激減しています。

2019年の回帰率は――

  • 全国:1.1%
  • 北海道:1.6%
  • 本州:0.3%

1980年以降で最低水準です。

つまり

シロ

「生まれてはいるけど、帰ってこない」
これが、今のサケ不漁の正体だなんて!


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サケの一生を30秒でおさらい

まずは、サケの旅を超ざっくり。

  1. 川で生まれる
  2. 春、海へ出る(稚魚)
  3. オホーツク海 → 北太平洋 → ベーリング海へ
  4. 数年後、大人になって生まれた川へ戻る

最近よく言われているのが、この中で、いちばん大事なのが②「海に出た直後」になります。
ここでうまく育てなければ、その後どんなに旅をしても、川には戻ってきません。


カギ① 水温帯:サケ稚魚が元気に育つ“ちょうどいい温度”

オホーツクで釣りあげられたサケ

サケが好きな温度は「5〜13℃」

サケの稚魚が沿岸で元気に育つのは、
水温5〜13℃のゾーン。

ところが近年、この
「ちょうどいい温度の期間が短くなったり、時期がズレたり」しているそうなんです。

たとえば、2013〜2014年はこの水温帯がとても短く、
「うまく育たなかった可能性が高い」とされています。

「温度が良くても不漁」の年がある?

さらに不思議なのが、2016年。
この年は水温条件だけ見れば「不漁にならないはず」でした。

それでも、数年後に戻ってきたサケは極端に少なかったのです。

つまり――
水温だけが原因ではない、ということが言えそうです。


カギ② 潮流:サケの進路を変えた「海の流れ」

日本列島付近を流れる潮流のイメージ

ここからが本題。
サケが戻れなくなった“理由編”です。

親潮が弱くなった

日本の東側を南へ流れる冷たい海流、親潮
この親潮は、サケにとって「栄養たっぷりの海」でした。

ところが近年、親潮が弱くなり――

  • エサ(プランクトン)が沿岸に届きにくい
  • 稚魚が育ちにくい
  • 「ちょうどいい水温帯」も短くなる

という、三重苦が発生しているようです。

対馬暖流が強まり、ルートが“ずれる”

さらに、対馬暖流という暖かい海流が強くなっています。
この影響で、

  • 稚魚がオホーツク海へ向かうルートを外される
  • 暖かい海に入り、サバなどの捕食魚に食べられやすくなる

という事態が起きています。

つまり、

シロ

「進むべき道から外されて、エサも少なく、しかも食べられやすい」
これでは、母川に戻れるはずはないですよね…。


なぜ“戻れない”のか?(3つをまとめると)

  1. 水温帯が短い・ズレる → 育ちにくい
  2. 親潮が弱い → エサが少ない
  3. 暖流が強い → 進路が乱れ、捕食されやすい

この3つが同時に起き、
「稚魚時代に生き残れない」→ 数年後に“戻らない”
という結果になっています。


北海道と本州、何が違うの?

サケお腹の画像

回帰率の差

同じ年でも、戻り方は大きく違います。

  • 北海道:1.6%
  • 本州:0.3%

本州の落ち込みは、はっきり言って深刻です。


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追補:北海道と本州の「年級群別来遊量」を比べる

北海道:まだ“戻り”が残るが、下り坂

画像引用:水産庁 不漁問題に関する検討会とりまとめについて

実は北海道では、年級群ごとに減少はしているものの、
「まだ戻ってくる年」が残っています。

理由の一つは、親潮の影響が比較的残り、
エサ環境や回遊ルートが完全には壊れていないから。

ただし、長期的には下り坂。
「大丈夫」と言える状況ではなさそうです。
漁獲量も右肩下がりです。


本州:世代を追うごとに“戻れなくなる”構造

画像引用:水産庁 不漁問題に関する検討会とりまとめについて

本州太平洋側では、年級群を追うごとにはっきりと減少
水温が一時的に良くても回復せず、

  • 育たない
  • 進路を外される
  • 食べられる

という不利が重なった、“構造的に戻れない海”になっています。
漁獲量、回帰率も右肩下がりになっています。

一言でまとめると

シロ

北海道は「減っているけど、まだ戻る道が若干残っている」
本州は「戻る道そのものが壊れつつある」

これが、この資料から読み取れる最大の違いに感じました。


これからサケはどうなるの?

すぐに“元通り”は正直むずかしい

海の流れの変化は、一時的ではなく、今後も続く可能性が高いとされています。
つまり、「自然に回復するのを待つ」だけでは足りません

「放流だけ」では足りない時代へ

これから必要なのは、
「数を増やす」から「海に合わせる」への転換の時期に来てるのかもしれません。

たとえば――

  • 野生魚を活用した新しい増殖技術
  • 回帰率の高い放流方法の研究
  • ふ化場の効率化・統合
  • 定置網の多魚種化やICT活用など

今までの常識が通用しない時期に入っています。


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まとめ

  • サケが少ないのは、戻れないから
  • 原因は「水温」「親潮」「暖流」の変化
  • 本州は特に深刻、北海道も安心ではない
  • これからは“海に合わせたやり方”がカギ
シロ

今までの常識が通用しない時代に突入しているので、それに対応する対策は必要なんですね!

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