こんにちは!シロです!
ヒラメって、よく見ると本当に不思議な魚ですよね。
平べったい体に、片側へ寄った目。しかも「左ヒラメに右カレイ」なんて言われるくらい、目の位置まで魚を見分けるポイントになります。
でも、ここで気になるのが
ヒラメって、生まれた時からあの顔なの?
ってことなんですが、ご存じの方も多いと思いますが違います。
ヒラメの仲間は、生まれたばかりの頃は普通の魚のように左右対称で、成長の途中で片方の目が反対側へ移動します。これは単なる成長ではなく、「変態」と呼ばれる大きな体の作り替えになります。
Scientific ReportsのCampinhoらの研究では、異体類の変態について、左右対称の浮遊生活をする仔魚から、左右非対称の海底生活をする稚魚へ変化する現象として説明されています。
つまりヒラメは、最初から“ヒラメ顔”なのではなく、成長途中で顔つきが大きく変わる魚なんです。
シロ異体類(いたいるい)とは成長すると左右非対称になり、体を横にして海底で生活する魚のグループのことです!
ヒラメは生まれた時は普通の魚に近い


ヒラメの赤ちゃんは、最初から海底にぺたっと張り付いているわけではないのはご存じですか?
生まれてしばらくは、左右対称に近い体をして、水中を泳ぎながら生活します。この段階では、目も左右に分かれていて、私たちがイメージする「平たいヒラメ」とはかなり違います。
そこから成長が進むと、体の片側を下にして海底生活へ移行します。そのとき、片方の目が反対側へ移動し、両目が同じ側にそろっていきます。
Nature Geneticsに掲載されたShaoらのヒラメゲノム研究でも、異体類は脊椎動物の中でも極端な左右非対称の体を持ち、変態の途中で片方の目が頭の反対側へ移動し、頭部の形や体色にも大きな変化が起きると説明されています。
ヒラメの目はどうやって移動するのか
ここが一番おもしろいところです!
「目が移動する」と聞くと、眼球だけが顔の上をずるずる動いていくようなイメージを持つかもしれません。
でも、実際にはもっと複雑です。
研究では、目の移動には頭の骨や周辺組織の変化が関係していると考えられています。Campinhoらの2018年の研究では、甲状腺ホルモンに反応する左右非対称な領域が、頭部の骨化や目の移動と関係していることが示されています。
つまり、目だけが単独で動くというより、頭の一部が作り替えられる中で、目の位置が変わっていくと考えるとわかりやすいです。
目の移動には甲状腺ホルモンが関係している


ヒラメの変態で重要なキーワードが「甲状腺ホルモン」なんだそうです。
甲状腺ホルモンというと、人間では代謝や成長に関わるホルモンとして知られているのですが、魚でもこのホルモンは重要で、ヒラメやカレイ類の変態に深く関わっています。
KAKENの研究課題「ヒラメ変態過程における左右非対称化の分子メカニズムの解明」では、ヒラメの変態は左右非対称な眼の移動と色素胞分化を伴う現象で、甲状腺ホルモンにより制御されると説明されています。
なぜヒラメは左右非対称になるのか
ヒラメが左右非対称になる理由を、釣り人目線でざっくり言うと「海底生活に特化したから」です。
ヒラメは砂地に身を隠し、目だけを上に向けてベイトを待ち伏せします。
もし普通の魚のように左右に目が分かれたまま、体を横に倒して海底に寝ていたら、片方の目は砂側を向いてしまいます。



でも、両目が上側にあればどうでしょう?
上を通る小魚、潮の流れ、ルアーの動き、ベイトの影を見やすくなります。つまり、ヒラメの目の移動は、海底で待ち伏せする生活にとても合理的な形なのです。
左ヒラメ右カレイは本当に正しいのか


よく言われる「左ヒラメに右カレイ」。
これは、魚の腹を手前にして見たとき、ヒラメは目が左側に、カレイは右側にあることが多い、という見分け方です。
ただし、これは絶対ルールではありません。
魚種によって例外がありますし、海外の異体類では左右が違うものもいます。そのため、「見分け方として便利だけど、学術的には例外もある」と考えるのが正確です。
ヒラメの体色まで左右で変わる
ヒラメの変態で変わるのは、目の位置だけではないって知っていました?
実は体の色も変わります。
海底側になる面は白っぽくなり、上を向く面は砂地に似た色になります。これは、敵から見つかりにくくしたり、ベイトに気づかれにくくしたりするために重要です。



それも変態なの!?って思った方も多数いるはずです♪
釣り人目線で見ると、ヒラメの目はかなり合理的
釣り人目線のお話をすると、
ヒラメは砂に潜って、上方向を見ながらベイトを待つ魚です。つまり、ヒラメにとって大事なのは「上を通るものをどう見つけるか」です。
- ベイトが通るレンジを意識する
- 底を取りすぎず、ヒラメの目線より少し上を通す
- 濁りや光量に合わせてルアーカラーを変える
- 朝マズメや夕マズメなど、視覚で追いやすい時間帯を狙う
ヒラメの目が上側にそろっていることを考えると、「底をズルズル引くだけ」が必ずしも正解ではないことがわかります。
砂に隠れたヒラメの上を、弱った小魚のように通す。このイメージを持つだけで、ルアーの通し方がかなり変わります。
まとめ:ヒラメの目が左にある理由は、海底生活への大進化だった
ヒラメの目がなぜ左にあるのか。
その答えを一言でいうと、海底生活に適応するためです。
当たり前と言えば当たり前のお話なんですけどね(笑)
ただし、単純に目だけが動いたわけではないのがわかりますね?
ヒラメは成長の途中で変態し、甲状腺ホルモンの働きや頭部の骨格変化、体色の変化を伴いながら、海底で待ち伏せしやすい体へ変わっていきます。
つまりヒラメは、釣って楽しいだけでなく、知れば知るほど不思議でおもしろい魚の一つなんです。
次にサーフでヒラメを狙うときは、



「この魚、子どもの頃は普通の魚だったんだよな」
なんて思うだけで、砂浜での一投がちょっとロマン深くなるはずです!
参考文献・出典
- Campinho, M.A. et al. 2018. A thyroid hormone regulated asymmetric responsive centre is correlated with eye migration during flatfish metamorphosis. Scientific Reports.
- Shao, C. et al. 2017. The genome and transcriptome of Japanese flounder provide insights into flatfish asymmetry. Nature Genetics.
- Schreiber, A.M. 2013. Flatfish: an asymmetric perspective on metamorphosis. Current Topics in Developmental Biology.
- KAKEN「ヒラメ変態過程における左右非対称化の分子メカニズムの解明」
- KAKEN「カレイ類変態期の眼の移動-甲状腺ホルモンによる左右非対称な形態形成機構の解明」

