クロマグロ釣りを楽しむ遊漁者にとって、近年のルール変更は目まぐるしく、「また変わるの?」と感じている方も多いのではないでしょうか。
令和3年度(2021年度)から始まった遊漁によるクロマグロ採捕規制は、年々強化されてきました。そして令和7年度(2025年4月〜)から令和8年度(2026年4月〜)にかけて、これまでで最も大きな制度変更が行われます。
この記事では、令和7年度と令和8年度のルールの違いをわかりやすく比較するとともに、新制度のメリット・デメリットを整理し、私が感じる採捕量の地域制不採用による不公平問題についても意見をまとめました。
令和7年度(2025年4月〜2026年3月)のルール概要

シロまず現行の令和7年度のルールを確認しておきましょう。
対象魚種・サイズ
- 大型魚(30kg以上):採捕規制の対象
- 小型魚(30kg未満):採捕禁止(意図せず釣れた場合は即リリース)
年間採捕上限
- 60トン(前年度の40トンから大幅増加)
- 国の留保枠内の遊漁見合い枠として設定。この60トンを厳守。
月別採捕上限(大型魚)
| 時期 | 月別採捕上限 |
|---|---|
| 4月〜8月 | 各月 5トン |
| 9月〜3月 | 各月 3トン |
※本来、毎月均等に設定
バッグリミット(個人の持ち帰り制限)
- 1人あたり1か月1尾まで
- ※前年度(令和6年度)までは「1人1日1尾」でしたが、令和7年度から「1か月1尾」に厳格化されました。
採捕後の報告義務
- 採捕した翌日までに、尾数・重量等を水産庁に報告する義務あり。
採捕禁止の仕組み
- 月別の採捕上限に達した時点で、月内であっても即座に採捕禁止が公示されます。
- 令和7年度の実績では、ハイシーズンに月初から数日〜10日程度で禁止になるケースが相次いでいます。
委員会指示の有効期間
- 令和7年度から、広域漁業調整委員会の指示期間が従来の1年間から2年間に延長されました。



令和7年度から「1か月1尾」に厳格化され、指示期間が従来の1年間から2年間に延長されましたのも大きな変更点でした。
これにより、この2年間で委員会指示違反をした場合、裏付け命令を出される可能性があります。
ここで従えば特に罰則はないのですが、2回目以降は、罰則(1年以下の拘禁刑もしくは50万円以下の罰金等)が適用されます。(漁業法第191条)
今までは1年ごとにリセットされている現状でした。
つまり、罰則が厳しく適用されることになったと言えます。
令和8年度(2026年4月〜)の主な変更点


令和8年度から新たに導入される最大の変更が「届出制」です。加えて、バッグリミットの見直しも予定されています。
最大の変更点①:届出制の導入
令和7年2〜3月の広域漁業調整委員会において、令和8年4月1日から届出制の導入が正式決定しました。
届出が必要な対象者は以下の3つ:
- クロマグロ(大型魚)を釣ろうとする釣り人(遊漁者)
- 釣り人を漁場へ案内する遊漁船業者
- 釣り人を連れて行く・または自ら釣りに行くプレジャーボート等の運航者
届出をしていない者はクロマグロを採捕してはならない
これはとても重要なルールで、事前に届出をしていない場合、意図せずクロマグロが釣れた場合も即リリースが義務となります。
届出方法(3種類):
- 専用サイト:https://www2.yugyo-saihoryo.jp/
- メール:km-yugyo★maff.go.jpへ届出書様式を送付(★を@に変換してください)
- 報告フォーム:https://www2.yugyo-saihoryo.jp/nologin/report
届出のタイミング:
- 釣り人(遊漁者):採捕しようとする日の1営業日前まで
- 遊漁船業者・ボート運航者:委員会指示の有効期間中に1回(受付期間内に届出)
変更点②:バッグリミットの見直し
水産庁は令和8年4月から、バッグリミットを「1人各期間1尾」に変更する見込みを公表しています。
現在の「1か月1尾」から、4月からはじめて2か月間ごとの管理期間に1尾へと変更される方向で検討されており、確定次第正式に公示されます。これが実施されれば、釣行回数の多いアングラーにとっては実質的な大幅制限となります。



なぜ、マグロの遊漁だけここまで厳しいのか…。と疑問に思う方も多かったと言えるでしょう。
令和7年度 vs 令和8年度 一覧比較表
| 項目 | 令和7年度 | 令和8年度(見込み含む) |
|---|---|---|
| 年間採捕上限 | 60トン | 60トン(継続) |
| 月別採捕上限 | 毎月均等に設定 | ・毎月均等に設定 ・令和7年度の余剰分は各月に均等配分 ・月毎の採捕数量を超過した場合は、した数量を翌々月の採捕数量から均等に差し引く |
| バッグリミット | 1人1か月1尾 | 1人各期間(4月からはじめて2か月間ごと)1尾へ変更見込み |
| 事前届出 | 不要 | 必要(新規導入) |
| 採捕後報告 | 翌日まで報告義務あり | 継続 |
| 委員会指示期間 | 2年間 | 継続 |
| 違反時の罰則 | 1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金等 | 継続 |



採捕上限も変わりそうですが、事前の届出とバッグリミットの変更が大きいと言えます。
令和8年度の新制度:メリットとデメリット


メリット
デメリット



国際的な資源管理の対象となるマグロですが、現在異常なほど海にマグロが多い現状です。果たして、この状況でここまで厳しい資源管理が必要なのかと不思議に思うことはあります。
【筆者の意見】採捕数量の「地域制」を採用しないことへの強い疑問
ここからは私個人の意見です。
令和8年度の新制度でも、採捕数量の管理は全国一律(全国プール制)が継続される見込みです。私はこれが最大の問題点だと考えています。
なぜ全国一律管理では不公平なのか?
現行・新制度とも、月別の採捕上限は全国合計で「〇トン」という形で管理されています。つまり、クロマグロが多く回遊する特定の海域・地域で集中して釣れると、その地域のアングラーが枠を大量消費し、クロマグロが回遊してきた他の地域では枠がなくなっていて釣れないという事態が起きます。
実際に令和7年度の採捕実績を見ると:
- 6月・7月はJ6・J7・J8海域(東北・北陸沖)に採捕が集中し、6月に12.6トン・7月に12.8トンという月別上限を大幅超過
- その結果、他の海域・他の月でクロマグロが接岸しても「すでに全国枠が消費済み」で釣りができない状況に
「クロマグロがやっと近くに来た!でも禁止期間中で釣れない…」
これは、地域によっては年に何回もチャンスが消えることを意味します。
地域制(エリア別管理)の何がいいのか?
もし採捕数量の管理を地域(海域)ごとに分配・管理する「地域制」にするならば:
- 各地域で独立した採捕枠が設けられ、その地域の枠は他地域に影響されない
- 特定の地域でクロマグロが大漁でも、他の地域の枠は守られる
- 漁業者の地区別管理に倣った、より公平な制度設計が可能
国際的な資源管理の観点でも、エリアごとの管理は各国で採用されている合理的な手法です。



毎年北海道、東北エリアのアングラーは採捕枠をオーバーしないように協力していますが、他のエリアの採捕数が多く、ハイシーズンに釣りができないことがここ数年続いています。
まとめ:全国一律管理は「地域格差」を生む
届出制の導入によって遊漁実態の把握が進むことは一歩前進です。しかしそのデータを活かし、次のステップとして地域別の採捕数量管理(地域制)を真剣に検討すべきだと私は考えます。
全国の釣り人が公平にクロマグロ釣りを楽しめる制度設計を——それが資源管理と遊漁振興を両立させる唯一の道ではないでしょうか。
- 令和7年度:年間60トン・月別上限あり・バッグリミット1人1か月1尾・届出不要
- 令和8年度:届出制の導入(事前届出必須)・バッグリミットを各期間1尾に変更見込み
- 新制度のメリットは資源管理精度の向上と違反抑止、デメリットは手続きの煩雑さと釣行機会の損失
- 採捕数量の地域制不採用は、地域によって釣りができなくなる不公平な管理制度であり、早急な見直しが必要
クロマグロ遊漁のルールは今後も変わり続ける可能性があります。最新情報は必ず水産庁の公式ページでご確認ください。

