「昨日は海が真っ白だったのに、今日は何もない…」
群来って、本当に気まぐれに見えますよね。
でも実は――
ニシンはちゃんと“条件がそろう日”を待っているそうなんです!
今回は、公的研究機関の報告と論文をもとに解説します。
群来とは何か?

群来(くき)とは、みなさんご存じのとおり、
ニシンが沿岸の藻場に大量に押し寄せ、産卵と放精を行い、海が白く濁る現象です。
白くなる原因は、主にオスの放精です。
シロ初めて見ると見慣れない海の様子に驚きますね!
群来の第一条件は「波が静か」
波高はどのくらい?
留萌沿岸の観察報告では、
・有義波高がおよそ0.5m以下
という条件であることが述べられています。
参考
「稚内水産試験場 留萌南部地区水産技術普及指導所 ニシンの群来た場所を調べる」
なぜ波が低い必要があるの?
ニシンの卵は、スガモやホンダワラ類などの海藻に粘着します。
波が高いと、
・卵が流される
・受精効率が下がる
・産卵場にとどまれない
つまりニシンにとってベタ凪は、「今日は安心して産める日」
という合図なんです。



荒れた海で無くはないですが、意外と堅実派ですね。
風はやさしく、できれば陸から沖へ


群来時の風の特徴
観察例では、
・風向:東南東(陸→沖方向)
・風速:1〜2m/s程度
という静かな条件で確認されています。
参考
赤池章一ほか(2002)「北海道留萌沿岸で観察されたニシン産卵床の特徴」
北海道立水産試験場研究報告 第62号
なぜ陸風がいいの?
陸から沖へ吹く風は、
つまり、沿岸が波立ちにくい。
ニシン目線で言えば、



今日は海が落ち着いてるね、行こうかな!
そんな日です。
潮は“小潮”がポイント
国際論文の重要研究
Hay, D.E. (1990)
“Tidal Influence on Spawning Time of Pacific Herring”
Canadian Journal of Fisheries and Aquatic Sciences
https://cdnsciencepub.com/doi/10.1139/f90-266
この研究では、
・小潮(特に新月後)に産卵頻度が高まる
と報告されています。
産卵は夜にこっそり


産卵時間帯の特徴
国内報告では、
・深夜〜夜明け前に産卵
・明け方に白濁が確認される
・昼頃には拡散して消える
とされています。
参考
北海道立中央水産試験場石狩湾系ニシン情報 参考資料1(2015 年 2 月 2 日) ニシンの「群来」について
夜を選ぶ理由として、
・外敵が少ない
・風が弱まりやすい
・海が安定しやすい
といった生態的メリットが考えられます。



ニシン、あんな豪快に群来るのに意外と慎重です(笑)
水温もきちんと条件がある
産卵適水温
石狩湾では約5℃前後。
一般的には3~8℃の範囲と報告されています。
参考
高柳志朗・石田良太郎
「石狩湾系ニシンの繁殖特性」北水試研報
https://www.hro.or.jp/upload/36287/o7u1kr0000000pdd.pdf



ニシンは成熟しても、水温と海況が整うまで待つことができる報告は驚きですね!
産卵場は藻場が必須
必要な環境
・スガモ、ホンダワラ類などの海藻
・遠浅の入江
・潮の動きが弱い場所
・港湾内や消波域
卵は海藻にくっつきます。
海藻がなければ、群来は起こりません。
つまり群来は、
「藻場が元気な証拠」でもあります!
まとめ:群来は条件の“重なり”
群来は、
・波高約0.5m以下
・風速1〜2m/s
・小潮(特に新月後)
・深夜〜夜明け前
・水温3〜8℃(石狩湾では約5℃)
・藻場の存在
これらが同時にそろったときに発生しやすい傾向があるようです。
だから群来は神秘的に見えるんですね。
海は偶然ではなく、ちゃんと理由で動いているようです。
次に海が白くなったら、
ぜひ思い出してください。



「ああ、今日は全部そろった日なんだな」ってね!

