「なんで飯寿司や鱒鮨・笹鮨って、いつも笹の葉で包まれているんだろう?」
釣り人であり料理人の僕も、最初は「見た目がキレイだから」くらいに思っていました。
でも調べてみると、笹にはちゃんとした保存の理由と科学的な根拠があるんです!
しかも、北海道と富山県など地域が違うと使われている笹の種類も違うんですよ。
今回は、笹の植物としての特徴から、飯寿司・鱒鮨に使われるようになった歴史、地域ごとの違いまでわかりやすく解説します。
そもそも「笹」ってどんな植物?
実は竹の仲間
笹は、イネ科タケ亜科に属する植物で、いわば小型の竹の仲間です。
竹と違って、茎(稈)が年中青々としており、冬になっても葉が落ちないのが特徴で寒さにめっぽう強いです!
山間部や冷涼な地域に多く、日本の気候に強い常緑性の植物として古くから親しまれています。
見た目は細長く、光沢があって水をよく弾くのはみなさんもご存じなはず。
この構造が、実は食材を乾燥や雑菌から守る天然のバリアになっているのです。
サクラそう言えば、笹の葉ってよく水を弾くよね!
薮漕ぎしてる時、上に乗ったら転びそうにもなるね(笑)!
笹の葉が持つ天然の抗菌・防腐効果
科学的にも証明された“自然の保存材”
笹の葉には、以下のような抗菌・抗酸化成分が含まれているんですが、みなさんも聞いたことのある成分はあるはず!
| 成分名 | 主な効果 |
|---|---|
| ササニン | 細菌やカビの繁殖を抑制するポリフェノールの一種 |
| クロロフィル(葉緑素) | 抗酸化・消臭作用を持ち、食材の変色を防ぐ |
| フラボノイド類 | 抗炎症・抗菌作用をもち、腐敗を防ぐ |
| リグニン | 細胞壁を強化し、水分や雑菌の侵入を防ぐ |
これらが組み合わさることで、魚の発酵食品を傷ませない天然ラップ効果を発揮します。
冷蔵庫がない時代、笹の葉は“自然界の抗菌シート”として、魚の命を守っていたのです。



確かに天然ラップと言われるとそうですね!
抗菌・抗酸化効果があるなんて一石二鳥!
飯寿司や鱒鮨に笹が使われた理由


見た目だけでなく、保存のため
北海道の「飯寿司」や富山の「鱒鮨」などは、どちらも生魚を長期間保存する発酵料理です!
保存の要となったのが笹の葉。
単に包むだけでなく、菌の繁殖を抑えて発酵を安定化させる働きがありました。
また、笹には特有の清涼な香りがあり、魚の生臭さを和らげ、上品な風味を生み出します。
つまり笹は「防腐」と「風味付け」、どちらも担う万能素材なのです!



実は私、調理師だったのでよく笹の葉は使いましたが、今思えば、菌の繁殖を抑えながらも発酵を安定化させるだなんて優秀過ぎです!
北海道と富山で違う“笹の種類と風土”


北海道の笹は「チシマザサ」や「クマイザサ」
北海道の山林に広く分布するのは
- チシマザサ(Sasa kurilensis)
- クマイザサ(Sasa senanensis)
- ミヤコザサ(Sasa nipponica)など
これらは葉が大きく、厚みがあり、寒さに非常に強い種類です。
チシマザサが選ばれた理由
- 香りがしっかりしている
- 厚くて丈夫
- 冬の発酵食(飯寿司)と相性が良い
北海道の笹はマス・サケの強い旨味に負けない“力強さ”があります。
富山の鱒鮨・笹鮨に使われるのは主に「クマザサ」
富山では、
クマザサ(隈笹/熊笹)
が古くから鱒鮨に使われてきました。
クマザサの特徴は
- 香りが穏やか
- 葉が扱いやすい
- 酸味のある押し寿司と相性が良い
富山は湿度が高く、発酵が進みやすい地域。
そのため「包みすぎず、通気性を保てるクマザサ」が選ばれるようになったと考えられます。



料理人目線で言えば、クマザサは鱒の脂・酢・わっぱの香りをやさしくまとめる“調和型”の笹ですな!
地域の料理が笹の種類を選んだ
まとめると、
- 北海道:チシマザサ・クマイザサ
→ 冬の保存食、魚の強い旨味に負けない香り - 富山:クマザサ
→ 湿潤な環境、押し寿司に合う控えめな香り
地域の気候・魚の種類・料理方法が、
自然と「その土地の笹」を選ばせてきたというわけです。
釣り人・料理人としての実感
魚を直接扱ってきた立場から言うと、笹は“香りを添える葉”ではなく、



魚の味を決めるパートナーみたいなものです!
北海道のサケ飯寿司ならチシマザサ、
富山の鱒鮨・笹鮨ならクマザサ。
この組み合わせが、長年の経験で磨かれてきた“黄金比”なんだと思います。



お魚料理以外にも、先日新潟県で食べた笹団子も絶品でした!
笹の香りが団子にほんのり移って美味しさ倍増です!
北海道タケノコ(チシマザサの若芽)の特徴



ちなみに、北海道でタケノコって言われるものはどんなタケか知ってるかな?



あの細いタケノコね!タケノコはタケノコはじゃないの?



実はあのタケノコと思っているのはチシマザサの若芽なんだ!
特徴はこんな感じ↓
- 細くてしっかりしており、アクが少ない
- 焼きタケノコ・味噌汁・タケノコご飯などに向く



北海道では釣りに行ったり、アウトドアで山に行ったときによく採りますね!
個人的には、皮ごと焼いて香ばしさをつけると抜群に美味しい食材です!
【まとめ】
- 笹は竹の仲間で、抗菌・防腐作用が高い
- 飯寿司・鱒鮨の保存を支える天然バリア
- 北海道はチシマザサ・クマイザサ
- 富山はクマザサなど
- 風土と料理が最適な笹を選び続けてきた!
次にニシンやサクラマスが釣れた時、ぜひこの笹のことを思い出してください。
釣った魚を笹で包んで持ち帰る。家に帰って飯寿司、鱒鮨、笹鮨にする。そんな一手間が、釣りの思い出をさらに豊かにしてくれるはずです!
自然の恵みである魚を、同じく自然が与えてくれた笹で包む。そこには、先人たちが培ってきた、自然と共生する美しい文化が息づいています!

