サクラマスはどこから来た?系統と海域差の謎

サクラマスの魚体と日本海・オホーツク海・太平洋を示す地図風の背景を組み合わせ、サクラマスはどこから来たのかを系統の違いから解説する記事のアイキャッチ画像

こんにちは!シロです。
サクラマスって、日本海でもオホーツク海でも太平洋でも釣れますよね。

でもふと疑問に思いませんか?

「この魚たちって、もともと同じグループなの?それとも海ごとに違うの?」

今回はそんな疑問を、DNAを使った研究から解説していきます!
参考にするのは、2000〜2008年に採集されたサクラマス895尾を分析した研究です。

ちょっと難しそうに見える内容ですが、できるだけやさしく解説していきます。

この記事でわかること

  • サクラマスはどこから来たのか(系統の考え方)
  • 日本・ロシア・韓国で遺伝的に違いがあるのか
  • 日本海・オホーツク海・太平洋の違いはあるのか
  • この研究でわかること・わからないこと
目次
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この研究はどんなことをしたの?(Sato et al., 2010)

釣り上げられ、砂浜にメジャーとともに横たわるサクラマス

この研究(Population genetic structure and phylogeography of masu salmon (Oncorhynchus masou masou) inferred from mitochondrial and microsatellite DNA analyses ※記事下部に参考研究の詳細を記載)では、日本・ロシア・韓国のサクラマスを集めて、DNAの違いを調べています。

調査対象は全部で18集団・895尾です。

使ったのは次の2つのDNAです。

  • ミトコンドリアDNA(ND5という遺伝子)
  • マイクロサテライト(細かい違いを見るDNA)
シロ

簡単に言うと、「どの魚とどの魚が近い血のつながりか」をDNAで調べた研究です。

そもそも「系統」って何?

ここでいう「系統」は、難しく考えなくて大丈夫です。
「どのグループが、どのグループと近い仲間なのか」という意味です。

サクラ

例えば人間でも、同じ日本人でも地域によってルーツが少しずつ違いますよね。
サクラマスもそれと同じで、見た目は似ていてもDNAを調べると「実はちょっと違うグループ」が見えてきます。

DNAを調べたら、20種類のタイプに分かれた

ミトコンドリアDNA(ND5)を調べたところ、約560塩基の中に22か所の違いが見つかりました。
そして、その違いによって20種類のタイプ(ハプロタイプ)に分けることができました。

しかもこのタイプの中には、地域ごとに偏りがあるものもありました。

つまり、

シロ

「場所ごとに、ちょっとずつ違う系統のサクラマスがいる」
ということが見えてきたわけです。

日本と韓国のサクラマスは“遺伝の種類が多い”

釣り上げられたサクラマス

この研究では、日本と韓国のサクラマスの方が、ロシアのサクラマスよりも遺伝的なバリエーションが多いという結果が出ています。

これはどういうことかというと、

日本や韓国の方が、いろんな系統が混ざっている可能性がある

ということです。

ただしここは重要で、別のDNA(マイクロサテライト)では、地域ごとの差があまり大きく出ませんでした。

つまり、

「見るDNAによって見え方が少し変わる」

という点には注意が必要です。

ポイント
この研究は1つのDNAだけでなく、複数の方法で確認しています。
だからこそ「単純にこう」と決めつけず、バランスよく結果を見ているのが特徴です。

シロ

ちなみに、遺伝的多様性が高いほど、環境変化に対応しやすい傾向にあると思われます。

海域ごとにグループが分かれていた

サクラ

この研究で一番おもしろいのがここです!

サクラマスは大きく分けると、

  • 日本海側
  • オホーツク海側
  • 太平洋側

この3つのグループに分かれる傾向があるそうです。

これはつまり、

「同じサクラマスでも、海によって別のまとまりがある」

ということを意味するかと思われます。

これは、なんとなく釣りをする方であれば、肌で感じているとは思いますが、しっかりとしたエビデンスがあるのは非常に重要かと思います。

シロ

海域ごとに釣れ方や回遊のクセが違う理由の一つとして、こういう「系統の違い」が関係している可能性があるのかな~?なんて思いました。

じゃあサクラマスはどこから来たの?

日本海の磯

ここも非常に気になるところですね。

シロ

この研究だけでは「ここが起源です」とまではわかりませんでした(笑)

ただ、この研究ではこんなことが示されています。

サクラマスの現在の分布は

  • 氷河期(すごく寒い時代) → 数が減る
  • 間氷期(暖かい時代) → 数が増えて広がる

この繰り返しによって作られた可能性が高いと考えられているそうです。

つまり、

「長い時間をかけて、少しずつ今の分布になった」

ということになると思われます。

この研究から言えること・言えないこと

言えること

  • サクラマスは地域ごとに遺伝的な違いがある
  • 日本海・オホーツク海・太平洋でグループが分かれる傾向がある
  • 氷河期と間氷期が影響している可能性が高い

言えないこと

  • サクラマスの起源を1か所に断定すること
  • この研究だけで釣れ方の違いを完全に説明すること

まとめ

サクラマスは「どこでも同じ魚」ではなく、海域ごとに少しずつ違う背景を持つ集団の可能性があります。
ただし、この研究だけで起源を断定することはできません。この研究ではサクラマスの“起源”を特定したものではなく、現在の集団構造を示した研究である点には注意が必要です。

なので、今の違いは、長い時間をかけて作られてきたものと考えるのが一番自然ですね。

シロ

こういう視点でサクラマスを見ると、釣りの面白さもまた一段階深くなるなと思わせてくれる論文でした。

参考文献

Yu, J.-N., Azuma, N., Yoon, M., Brykov, V., Urawa, S., Nagata, M., Jin, D.-H., Abe, S.(2010)
Population genetic structure and phylogeography of masu salmon (Oncorhynchus masou masou)
Zoological Science, 27(5), 375–385.

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