サクラマスは色を認識できる?学術的視点から学ぶルアー選び

サクラマスアイキャッチ
目次

はじめに

サクラマス釣りにおいて、どうやったらもっと釣れるようになるのか?どうやったらあの人が密集した中、自分のルアーに飛びつくようになるのか?釣れルアーはどんなルアーなのか?を考えているアングラーも多いハズです。

私その一人。

釣れるルアーのカラーってどんなカラーでしょうか?
貴重なその一匹の為に一日何時間も釣りするわけですから少ないチャンスは逃したくないですよね。

では、みんなさんサクラマスがどのような色に強く反応しているのかをご存知でしょうか?

この記事では、サクラマスの色覚について文献を参考にし、釣りに役立つ情報考察していきます。

サクラマスの視覚の仕組み

サクラマス画像

サクラマスの目の構造

基本的な構造

サクラマスの目は、脊椎動物の一般的な眼球構造を持っています。主な構造は以下のとおりです。

  • 角膜(かくまく)
    水中の光を屈折させる役割を持ちますが、陸上生物に比べるとその役割は弱めです。水中では光の屈折率が空気と異なるため、魚類の角膜は比較的平坦な形をしています。
  • 水晶体(すいしょうたい)
    非常に丸い形をしており、光を集めて網膜に焦点を合わせる役割を持ちます。魚類は水晶体を前後に動かすことでピント調整を行います(ヒトのように水晶体の形を変えるのではなく、レンズの位置を変える方式)。
  • 虹彩(こうさい)
    明るさの調整を行うが、ヒトのように大きく変化することはなく、瞳孔の大きさはほぼ一定に保たれています
  • 網膜(もうまく)
    光を受け取る細胞(視細胞)が存在し、外部の光情報を神経信号に変換します。サクラマスの網膜には錐体細胞(色を識別する細胞)と桿体細胞(暗所視に優れた細胞)の両方が含まれています。
シロ

微妙に人間とは違うんですな。

2. サクラマスの視覚特性

サクラマスは、成長や環境によって視覚の能力が変化します。

  • 色覚
    サケ科魚類は一般的に紫外線を含む広範な色を識別できるとされています。特に稚魚の時期は紫外線光受容能力が高く、成長とともに変化する可能性があります。これにより、餌の識別や捕食者の回避に役立てています。
  • 暗所適応
    サクラマスは夜間や深い水域でも行動するため、低光量下でも視認できるように桿体細胞が発達しています。
  • 水中での視界
    水の屈折率の影響で、水中では遠くのものがぼやけやすくなりますが、サクラマスの目は動く物体を捉えるのに適していると考えられています。また、側方に目がついているため、広い視野を持ち、捕食者を察知しやすいという利点もあります。しかし、トラウト全般に言える事ですが、下に目線を向けるのが苦手で、逆に上を見上がるのが得意な魚でもあります。
サクラ

 人間と違って暗いところの視力が優れているんだね。

3. 環境変化と目の適応

サクラマスは河川と海を行き来する降海型の個体と、河川に留まる陸封型の個体(ヤマメ)がいます。この変化に伴い、視覚特性も適応します。

  • 海に降る際には、塩分濃度の違いに適応するだけでなく、視覚の感度や色覚の特性も変化すると考えられています。
  • 特に海水環境では青~緑系の光がよく届くため、それに適応するよう視覚特性が調整される可能性があります。
    ※下記に詳しく説明
シロ

降海すると目の特性も変化するなんてっ!

サクラマスの色覚特性

よく釣り人の間で話題になることですが、魚は色を認識しているのか?という事は多くのアングラーの中で盛り上がる内容の一つだと思います!

一人は、魚種によって違う。と言う人もいれば一人は白黒にしか見えていない。とも言う人も私は聞いたことがあります。沢山説がありすぎて、実際どなたが言うことが本当なのかわからないのが現状でした…。

サクラマスにおいてはどうなのか?その謎を解き明かすべく、文献を調べたところ独立行政法人水産総合研究センターさけますセンターの長谷川 英一氏の文献が目に留まりました。
長谷川氏はこの文献でサケ・マス類の視覚メカニズム、特にサクラマスの偏光感覚の有無を調査しています。
実験では、白黒縞模様のテープスクリーンを透明の円筒形水槽の外周で旋回させる視運動反応装置を用いて、サクラマスの行動反応を観察しました。

そして、この文献の中で、私が一番目に留まった一文が以下です。

サケは520nm に, カラフトマスとサクラマスは560nm に最大反応率を示す波長が観測された。 すなわち, これらの波長の色光を可視光域内で各魚種が最も強く感じていることになる。
 サクラマスの場合では,400nm でも極大反応が計測された。

引用:水産上重要な通し回遊魚,サケ・マスの視覚メカニズムとその資源生物学的意味 長谷川 英一 2008年


ん~なんか難しい言葉が出てきましたね(笑)
波長についでですが、いきなり~~nmと言われてもわからないのでイメージのイラストが下図になります。

可視光線イラスト

つまり、サクラマスは560nm(ナノメートル)の黄緑色の光に最も強く反応し、400nmの紫色の光にも高い感度を示すことがあることがわかりました!

シロ

黄緑色に強く反応するのか!

サクラ

400nmだから紫外線にも強く反応するのね!

海に入った太陽光はどうなるのか?

さて、海に太陽光が入ると、その後どうなるのでしょうか?

海中に入射した太陽光は、水深に応じて吸収され、波長(色)によって吸収のされ方が異なります。以下に、一般的な海水中での光の吸収特性をまとめてみました。

波長(色)吸収の特徴
約400nm(紫)数十メートルから100m以上の深度まで到達する
約450nm(青)深くまで届き、100m以上の深度でも残存する
約500nm(緑)中程度の深度まで届き、約50mで大部分が吸収される
約550nm(黄)浅い深度で吸収され、約30mでほとんどが消失する
約600nm(橙)非常に浅い深度で吸収され、約10mで大部分が吸収される
約650nm(赤)海面近くでほとんどが吸収され、数メートル以内で消失する

サクラマスが動く物体を認識しやすくなる仮説

上の表を見るとわかりますが、可視光線は、水深が深くなるにつれて、赤色などの暖色が吸収され最終的に紫色が深部に届くことになります。

つまり可視光線と判断できる色と言うのは水深によって変化しそうです。

なので「長い波長の可視光線は比較的深度の浅いラインで吸収されているため、深い海底では赤色や橙色などは見えないため、魚を釣る上では赤色や橙色は必要ない!」

と、言いたいところですが、そうは言えないのが釣りの面白いところ
で、確かに長谷川氏の文献でサクラマスは560nm(ナノメートル)の黄緑色の光に最も強く反応し、400nmの紫色の光にも高い感度を示すことがわかっていたとしても、深い深い海の中で赤色のジグでサクラマスが釣れることなんて言うのは日常茶飯事ですよね。

私なりの仮説なのですが、深い海でも届いている青色や紫色などの短い波長と、赤色などの長い波長の色では、逆にコントラストが出て、サクラマスに動く物体として認識されやすくなっているのでは?と思っています。

どんなカラーのルアー選びが良いのか?

定番カラー

緑ルアー

今回の記事の、一番重要なところなのですが、文献どおりサクラマスが560nmの黄緑色に最も強く反応し、400nmの紫色の光にも高い感度を示すのであれば、黄緑色と紫色のルアーは外せません。
これは私がブログで書くまでもなく、既に緑系のルアーが大人気なのが物語っていると思います。

また、ケイムラが反応する紫外線の波長は約300~400nmなので、ケイムラ加工しているルアーやフックも選択肢としてはアリだと思います。

しかし、ケイムラは紫外線が無いと効果は低いので、ジギングなど深い水深の釣りや夜においてはあまり有効とは言えません。

赤ルアー


先程書きましたが、深い水深では青色や紫色などの短い波長と、赤色などの長い波長の色では、逆にコントラストが出て、サクラマスに動く物体として認識されやすくなっているため、赤色を選択するのも良いかもしれません。

人も魚にも人気の蛍光色

人気の蛍光色にも触れておきましょう。

蛍光色とは、通常の光(可視光線)よりも強く明るく発色する色のことを指します。特に、紫外線(UV)や青い光の影響を受けると、そのエネルギーを吸収してより強く発光する特徴を持っています。

蛍光色の仕組み

蛍光色には、蛍光物質(フルオロフォア)が含んでいます。

フルオロフォアとは、光を当てると光る物質(蛍光物質)のことです。
例えば、ブラックライトで光るTシャツや、理科の実験で使う蛍光試薬がそれにあたります。

  • fluoro(フルオロ) = 蛍光
  • phore(フォア) = 運ぶもの

つまり、「光を発してくれる分子」なんです!
以下のような仕組みで明るく見えます。

STEP
光を受け取る(吸収)

紫外線や特定の波長の光を当てると、フルオロフォアが光のエネルギーを吸収します。
(例:ブラックライトで光るTシャツ)

STEP
光る(蛍光を発する)

吸収したエネルギーを、波長の長い黄色・オレンジ・緑などの可視光(可視光など)として放出します。通常の色は、光を反射するだけですが、蛍光色は吸収した光を自ら発光する形で返すため、より強い輝きを放ちます。
(例:青い光を当てたら緑色に光る)

STEP
光が消える(エネルギー放出後)

光を放ったあと、フルオロフォアは元の状態に戻ります。

ポイント:光を当てている間だけ光るのが蛍光の特徴です。

蛍光色のルアー

蛍光ピンクルアー

蛍光色のルアーは、銀や金などの光を反射する物がなくても、吸収した光を自ら発光するためアピール度は最高です。

私個人は蛍光の緑やピンクを愛用して沢山の釣果実績があります。

特にピンクはショアゲームにおいて、アングラーからも見えやすく、しっかりルアーが泳いでいるか?どこにルアーがあるか?がわかりやすく、扱いやすいのも特徴です。

扱いやすく目立つ特徴があることから、私個人は、サクラマス初心者には蛍光ピンクをオススメしています。

また、最近は自作フックに蛍光色を使用する方も増えていますので、フック選びには以下の記事を参考にしてみてください。

ピンク色は実は存在しない色?

実はピンク色には隠された秘密があります。
ピンク色は人間の脳が作り出した錯覚なのです。
詳しくは以下を参考に!

アワビ・シェルカラーのルアーはどなのか?

アワビやシェルカラーのルアーを愛用している方も非常に多いと思います。
特にブラック+アワビ・シェルカラーが大人気ですよね。
私も様々なトラウトフィッシングに使用していますけど、ここぞ!と言う時に本当に釣れてくれるカラーだなと思っていて、私なりの考察をまとめた記事がありますので気になる方は読んでみてください。

まとめ

サクラマス釣りにおいて、「魚が色を見て反応する。」と言うところに焦点を当ててルアー選びをすると、以下のルアーが魚に認識しやすい色と思います。

オススメルアーカラー
  • ド定番のグリーン
  • 科学的根拠のある紫
  • コントラストが強めの赤
  • 人間も魚にも見やすい蛍光グリーン・ピンク



今回は私の個人的な主観もかなり含めて書きましたが、皆さんが求める理想の釣りを描きながらルアーカラーを選択してみてください。

本記事を書くにあたり、参考にさせていただいた文献は以下です。
参考文献:水産上重要な通し回遊魚,サケ・マスの視覚メカニズムとその資源生物学的意味 長谷川 英一 2008年

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