「いやいや、サケさん。そろそろ千歳川へ帰ってきてもいい頃ですよ?」
2026年9月10日現在、千歳川で捕獲されたサケは累計1,251尾です。
数字だけ聞いてもピンとこないかもしれませんが、過去10年間の同じ時期と比べると、とんでもなく少ない数字になっています。
実は私は、2022年に千歳川へ約59万尾ものサケが帰ってきたため、
シロ2026年は4年魚が中心になる年。これは超絶大量に帰ってくるのでは?
と、かなり期待していました。
ところが、待てど暮らせどサケが来ない…。
石狩や日本海側のサケ釣りを楽しみにしている人にとっては、「絶望」という言葉が頭をよぎる状況です。
そこで今回は、2016年から2025年までの千歳川サケ捕獲数と、2026年9月10日までの数字を比較してみました。
この記事で分かることは、次の4つです。
- 2026年のサケ捕獲数は、過去と比べてどれくらい少ないのか
- これから遅れて大量に帰ってくる可能性はあるのか
- 2022年に大量回帰したサケの子どもはどこへ行ったのか
- 石狩・日本海側のサケ釣りは本当に絶望なのか
今日は少し数字が多めですが、可能なかぎり簡単に解説してみます!


結論|2026年は過去10年で最も悪いスタート


最初に結論です。
2026年9月10日までの千歳川サケ捕獲数は、過去10年と比べて明らかに少なく、単なる誤差では説明しにくい水準です。
ただし、9月10日は千歳川のサケ回帰シーズン全体から見ると、まだ序盤です。
そのため、
- 「2026年のサケは完全に終わった」と断定するのは早い
- 「遅れているだけだから心配ない」と楽観するのも難しい
という状況です。
現時点では、遡上時期が遅れている可能性はあるものの、石狩川水系へ帰ってきているサケ自体が少ない可能性も高いと考えるのが妥当でしょう!



まだシーズン序盤だけど、平年よりかなり少ないのは間違いないんだね。
過去10年と比べると2026年はどれほど少ない?


千歳川の公式資料から、各年の9月10日時点の累計捕獲数をまとめました。
| 年 | 9月10日まで | 年間捕獲数 | 9月10日までの割合 |
|---|---|---|---|
| 2016年 | 9,061尾 | 164,711尾 | 5.5% |
| 2017年 | 12,139尾 | 156,279尾 | 7.8% |
| 2018年 | 17,900尾 | 139,210尾 | 12.9% |
| 2019年 | 23,793尾 | 258,945尾 | 9.2% |
| 2020年 | 33,766尾 | 338,082尾 | 10.0% |
| 2021年 | 23,994尾 | 327,752尾 | 7.3% |
| 2022年 | 42,338尾 | 587,475尾 | 7.2% |
| 2023年 | 11,388尾 | 328,272尾 | 3.5% |
| 2024年 | 4,540尾 | 161,276尾 | 2.8% |
| 2025年 | 2,883尾 | 67,283尾 | 4.3% |
| 2026年 | 1,251尾 | 未確定 | 未確定 |
過去10年平均のわずか6.9%
2016~2025年の9月10日時点の捕獲数は、次のとおりです。
- 過去10年平均:約18,180尾
- 過去10年中央値:約15,020尾
- これまでの最低:2025年の2,883尾
- 2026年:1,251尾
2026年は、過去10年平均より約93%少ない計算になりました。
前年の2025年と比べても56.6%減。2022年同期の42,338尾と比べると、わずか約3%しかいません。
順位を付けるまでもなく、2026年は過去10年で最も悪いスタートです。



2025年もかなり少なかったのに、その半分以下とは思わなかった……
9月10日時点では年間の約7%しか捕れていない
ここで、少しだけ明るい材料も見てみましょう!
過去10年間では、9月10日までに捕獲されていたサケは、年間捕獲数の2.8~12.9%でした。
平均すると約7%です。
つまり千歳川では、年間に帰ってくるサケの大部分が、9月中旬以降に捕獲されています。
例えば2024年は、9月10日時点で4,540尾しかいませんでした。
ところが、その後は捕獲数が伸び、年間では161,276尾まで増えています。9月10日時点の約35倍です。
したがって、2026年の1,251尾だけを見て、「今年は最終的に1万尾にも届かない」と決めつけることはできない現状ではあります。
サケの本隊が、まだ石狩湾や日本海沿岸にいて、川へ入っていない可能性は残っています!
年間捕獲数を単純計算すると約1万~4万尾
過去10年間の「9月10日までの進み具合」を2026年に当てはめると、年間捕獲数の目安は次のようになりました。
- 過去の割合から計算:約9,700~44,400尾
- 中央値:約17,200尾
- 2025年と同じ進み方:約29,200尾
ただし、これは正式な来遊予測ではありません!
サケの遡上時期は毎年違うため、計算結果には大きな幅があります。
それでも現在の1,251尾から、過去10年平均の年間約25万尾まで増えるには、今後かなり大きな群れが入らなければならない状況になっています。
後半に増える可能性はある。しかし、平年並みに戻るには相当な追い込みが必要になるでしょう!
2022年に大量回帰したのに、なぜ2026年は少ない?


今回、私が最も期待していた理由が「4年魚」です。
一般的に北海道のサケは、4年魚で帰ってくる個体が最も多いとされています。
そのため、2022年秋に採卵され、2023年春ごろに放流されたサケは、2026年に4年魚として戻る中心世代になります。
水産研究・教育機構も、サケは4年魚の回帰が最も多いことから、来遊数を4年前の放流数で割った「単純回帰率」を公表しています。
ただし、実際のサケには2~8年魚まで幅があります。水産研究・教育機構「サケの放流数と来遊数及び回帰率の推移」



2022年に約59万尾も帰ってきたなら、その子どもが2026年にドカンと戻ると思うじゃん?



でも、親魚の数だけでは4年後の回帰数は決まらないんだよ!
親魚が多くても放流数が同じ割合で増えるとは限らない
まず重要なのが、川へ帰ってきた親魚の数と、実際に放流される稚魚の数は同じではないことです。
ふ化場には、次のような上限があります。
- 採卵する卵の計画数
- 卵を収容できる施設の規模
- 稚魚を育てる池の広さ
- 使用できる水量
- 飼育や放流に必要な人員
- 河川ごとに決められた放流計画
必要な親魚を十分確保した後は、さらに多くのサケが帰ってきても、放流数が同じ割合で増えるわけではありません。
2022年の捕獲数が多かったからといって、2023年春の稚魚放流数まで何倍にも増えたとは限らないのが現状です。
サケには何段階もの生存競争がある
皆さんご存じかと思いますが、サケが親魚になって千歳川へ帰るまでには、長い旅がありますよね。
- 親魚から採卵する
- 卵からふ化する
- 稚魚を育てる
- 川から海へ下る
- 石狩湾や北海道沿岸で成長する
- 北太平洋を数年間回遊する
- 日本海と石狩川を経由して千歳川へ戻る
このうち、どこか一つの段階で生き残りが悪くなるだけでも、4年後に帰ってくる数は大幅に減ることになります。
特に重要なのが、稚魚が川を下り、海へ出た直後の時期と言われています。
千歳川のサケを調べた研究でも、放流後の生き残りには河川水温が強く関係し、海へ出る前後の環境によって、その年級の回帰率が大きく左右される可能性が示されています。
簡単に言えば、たくさん生まれても、稚魚時代に生き残れなければ4年後には帰ってこないということです。
北海道全体でも、放流数の減少以上に回帰率が大きく低下しています。
詳しくは、こちらの記事で解説しています。


2022年級がすべて2026年に帰るわけではない
ちなみにですね、誤解がないように解説しますが、2022年級のサケが全員4年魚になるわけではありません。
- 3年魚:2025年に回帰
- 4年魚:2026年に回帰
- 5年魚:2027年に回帰
というように、同じ年に生まれたサケでも帰ってくる年が分かれます。
海での成長が速ければ若い年齢で成熟し、成長が遅ければ回帰年齢が高くなる可能性もあります。
そのため、2026年の数字だけで2022年級全体が失敗したと断定することはできません!
ただし、通常は4年魚の割合が最も多いため、2026年の出足がここまで悪いことは、2022年級の生き残りが良くなかった可能性を示す重要なサインになります!
サケは少ないのではなく遅れているだけ?


リアルなことを言うと、サケが遅れている可能性はあります。
サケが河川へ入るタイミングは、カレンダーだけで決まるわけではありませんよね?
千歳川のサケの場合、主に次の条件が関係していると思われます。
- 石狩湾や日本海沿岸の水温
- 千歳川や石狩川の水温
- 降雨と河川流量
- 河口周辺の水の状態
- 海流と沿岸の餌環境
- サケの成熟状態
- 系群ごとの遡上時期
沿岸や河川の水温が高い場合、成熟したサケが河口周辺にいても、すぐに川へ入らないことがあります。
まとまった雨によって流量が増え、水温が下がったタイミングで、一気に遡上が進む場合もあります。



雨が降ったあとに急に魚が増えることがあるのは、こういう理由なんだね!
遅れだけでは説明しにくい少なさ
9月後半から10月にかけて、千歳川の捕獲数が急増する可能性は残っています。
しかし、2026年は過去10年で最も少なかった2025年同期と比べても56.6%少ない状況です。
そのため、「サケはたくさんいるけれど、全員が沖で待っているだけ」と楽観的に考えるのは難しいでしょう…。
現時点では、次の2つが同時に起きている可能性があります。
今後の捕獲数に加えて、石狩湾の沿岸漁獲、河川水温、降雨後の増加などを見ていく必要があると言えるでしょう!
千歳川の数字だけで日本海全体を判断できる?


千歳川は石狩川水系に属し、石狩川を通じて日本海へつながっています。
そのため、千歳川のサケ捕獲数は、石狩湾や日本海中部のサケ資源を考えるうえで重要な数字です。
ただし、千歳川の捕獲数が1,251尾だからといって、
- 石狩湾にサケが1,251尾しかいない
- 日本海側にはサケが全くいない
- すべての河川で同じように減っている
とは言えませんよね。
千歳川の捕獲数は、次の条件にも左右されます。
- 千歳川へ帰る系群の大きさ
- 石狩湾へ到達する時期
- 石狩川や千歳川へ入る時期
- 沿岸や河川での漁獲
- 捕獲施設の稼働状況
- 河川流量による捕獲効率の変化
つまり、千歳川の捕獲数は資源状態を知るための強力な指標ですが、海にいるサケをすべて数えた数字ではないと言えます!



千歳川の数字は重要。でも、日本海全体のサケを数えた数字ではないんだね。
北海道全体の予測も厳しい
2026年の北海道全体の秋サケ来遊予測は約364万5,000尾です。
2025年実績の約686万尾から、さらに約47%減少する予測となっています。
一方、千歳川の9月10日時点の捕獲数は、2025年同期の43.4%です。
全道予測と千歳川では対象範囲が異なるため、直接比較はできませが、
「2025年よりさらに厳しくなる」という事前予測と、千歳川の初動が同じ方向を示していることは無視できません。
2026年の千歳川だけで遡上が遅れているというより、北海道全体で続くサケ資源低迷の一部として見る方が自然ですね?
2026年の石狩・日本海で釣り人はどう動く?
サケが少ない年ほど、「去年釣れた場所へ同じ日に行けば釣れる」という考え方が通用しにくくなります。
2026年は、次のような情報を組み合わせて判断することが重要だと思いますが、釣りなのでその判断は非常に難しい(笑)。
- 千歳川などの河川捕獲数
- 地域別の沿岸漁獲数
- 雨が降った前後の変化
- 河川や沿岸の水温
- ハネやもじりなど実際の魚影
- 周辺の釣果が単発なのか複数なのか
SNSで1匹の釣果写真を見ただけでは、大きな群れが入ったとは判断できませんよね。
少ないサケが偶然釣れただけかもしれませんし、本当に新しい群れが入った可能性もあります。
複数の情報を確認し、一つの釣り場に固執しない方がよいでしょう!



釣れたという一件だけで遠征すると、見事に何もいないことがあるんですよね(笑)
また、サケが少ない年ほど、魚が確認された釣り場へ人が集中するものです。
駐車、場所取り、ごみ、騒音、河口規制には、いつも以上の注意が必要です。
場合によっては、釣りを見送る覚悟も十分必要です!
北海道の河口規制はこちらで確認できます。


考えられる疑問
2026年の千歳川には本当にサケが帰ってきていないの?
全く帰ってきていないわけではないんですね。
2026年9月10日までに1,251尾が捕獲されています。
ただし、過去10年平均の6.9%しかなく、過去10年間で最も少ない出足です。
これから大量に帰ってくる可能性はある?
可能性は残っていると思います!
過去10年間では、9月10日までの捕獲数は年間の2.8~12.9%でした。
ただし、2026年は2025年同期の半分以下です。遡上時期の遅れだけでなく、来遊数そのものが少ない可能性も考える必要があります。
2022年に大量回帰したサケの子どもは2026年に帰らないの?
2022年に採卵された年級は、2026年に4年魚として帰る中心世代です。
しかし、親魚が多くても放流数が同じ割合で増えるとは限りません。
さらに、卵、稚魚、沿岸、沖合という各段階で生き残る必要があるため、親魚の多さだけでは4年後の回帰数を予測できない現状です。
千歳川が少ないなら石狩や日本海も絶望?
厳しい状況を示す材料ではありますが、千歳川の数字だけで日本海側全体を断定することはできません。
河川ごとに系群や遡上時期が異なるため、地域別の沿岸漁獲や河川捕獲情報も合わせて判断する必要があります。
まとめ|絶望するには早いが、楽観もできない


2026年9月10日までの千歳川サケ捕獲数は1,251尾でした。
今回の比較で分かったことを整理します。
- 過去10年平均の約18,180尾に対して、2026年は1,251尾
- 過去10年平均のわずか6.9%
- 2025年同期より56.6%少ない
- 過去10年間で最も悪いスタート
- 遡上が遅れている可能性は残っている
- ただし、来遊数自体が少ない可能性も高い
- 2022年の親魚が多くても、2026年の大量回帰は保証されない
私は、2022年に千歳川へ約59万尾ものサケが帰ってきたため、2026年は4年魚が超絶大量に戻ってくると予想していました。
しかし、現実はなかなか厳しいようです。
「親が多ければ、4年後の子どもも多い」という単純な計算では、サケの資源を説明できませんでした。
サケは稚魚時代の河川水温、沿岸へ出た直後の生き残り、海水温、海流、餌環境、成長速度など、さまざまな影響を受けます。
現時点で「日本海のサケ釣りは完全に絶望」と決めるのは早いでしょう!
それでも、2026年がかなり厳しい年になる可能性は、しっかり覚悟しておく必要があります。



頼むぞ、2022年級。筆者の超絶大量回帰予想を、まだ終わらせないでくれ!
あとはサケの本隊が、「ちょっと遅れました!」と、千歳川へ一気に押し寄せてくれることを願うばかりです!

